形成外科では「生まれつき」・「けが」・「腫瘍」により生じた見た目や機能の損失を、再建しています。
私たちは病気の原因をしっかり把握した上で治療計画を立て、よりよい治療が提供できるよう心がけています。
患者さんが笑顔で社会生活に復帰していただくことがわれわれにとっての喜びであります。
具体的に対象となる疾患には、顔面骨骨折・顔面裂傷・唇裂・口蓋裂・小耳症・副耳などの顔面先天性異常、多指症・合指症などの手・足の先天性異常、手の外傷(腱断裂・骨折・切断・ひきつれなど)、良性および悪性皮膚腫瘍、傷あと、熱傷、皮膚潰瘍などのほか、眼瞼下垂、臍突出(でべそ)、他科での切除手術による組織欠損再建など多岐にわたっております。滋賀医科大学形成外科では短指(趾)症に対する骨延長術及び、鼻の変形に対する形成術に、独自の経皮的骨切り法という、メスで皮膚を切らない治療法を行っており、良好な成績をおさめています。

診療内容

眼瞼形成

眼瞼下垂

生まれつき、または成人してから、まぶたが下がってきたように思える方は眼瞼下垂症の疑いがあります。
視野が狭くなることはもとより、肩こり、頭痛の原因となっていることもあり、また、老け顔の要因にもなります。治療により、下がったまぶたを挙上させることができるようになります。
当院では症状に応じて適切な治療法を患者さんと相談させていただきながら行っています。

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逆まつげ(睫毛内反症)

上まぶた、下まぶた両側の逆まつげに対し、美容外科の技術を取り入れた手術を行っています。皮膚を切らず糸だけで固定する方法や皮膚切開を行い固定する方法があり、状態に応じた治療法を提供します。

先天異常

体表に生じた先天異常は整容面の問題、機能の問題があります。
身体の機能の獲得に大切な幼児期、学童期までに治療を開始し、社会生活にかかる負担をできる限り少なく過ごせるようにと心がけています
(身体の成長を待ってから行う手術もあります)。

手・足の先天異常

(中足骨・中手骨短縮症多指症、合指症、絞扼輪、裂手、橈側列形成不全、強直母指、など)

特に短指症(詳しくはこちら中足骨短縮症、中手骨短縮症に対して皮膚切開を行わない、骨の延長法を行なっています。 

口唇・口蓋裂

口唇口蓋裂は先天性の形態異常で、日本人では最も頻度の高い顔面に起こる障害です。形だけでなく、言葉、哺乳、耳の障害なども起こしやすく、心臓の合併症も通常より多いといわれています。形成外科だけではなく、小児科、耳鼻咽喉科、言語聴覚士、小児歯科、矯正歯科、補綴歯科などの多くのスペシャリストがチームを組んで治療にあたる必要があります。
 

耳の先天異常(副耳、小耳症、カップ耳、耳垂裂など)

耳の軽度の変形に対しては、生後すぐ(生後1ヶ月以内が理想)にテーピングで良くなることが多いです。耳の形に応じた独自の矯正法を行っています。少しでも変形があると思われたら、早めの受診をお勧めします。

副耳は糸でとる方法や手術で切除する方法があります。できる限りきれいに縫合し目立ちにくくします。

頭のかたち外来

生まれたての赤ちゃんは、寝癖や産道を通ってくる影響により、頭の形が、歪んでいることが多いです。近年、それらに対し、ヘルメットをかぶるだけで矯正ができるようになりました。自費診療となりますが、有効な報告であり、あたまの形を気にされている親御さんたちにとっては、非常に良い治療です。当科でも開始します。

その他(舌小帯短縮症、臍突出(臍ヘルニア)、先天性眼瞼下垂など )

その他、見た目にわかる生まれつきの変形についての治療のほとんどが形成外科で治療対象となります。見た目の変形が気になった場合には、できる限り早期に受診してください。

外 傷


当科では顔面の骨折、顔面の挫滅傷に対し、変形ができる限り残らないように整復、縫合し美しく治すことを心がけています。
手・指の外傷(手の外科)手は日常の仕事、家事、趣味、遊びなどの作業を円滑に行うために非常に大切な部位であり、外傷後、不適切な治療を行うと、機能的損失から日常生活に大きな支障を来します。
私たちは見た目だけでなく、いかに日常生活への後遺症を少なくするかを考えながら治療にあたります。
また、過去の外傷により、動きが悪い、ひきつれを起こしているなどの症状に対しても、再建を行っています。
(熱傷後瘢痕拘縮、スワンネック変形、ボタンホール変形、橈骨・尺骨・正中神経麻痺など)
外傷以外でも、デュプイトレン拘縮(指が曲がってきた)、手根管症候群、軟部腫瘍、骨腫瘍などの手の病気の治療も可能です。皮膚欠損、瘢痕拘縮(ひきつれ)けがや、病気により生じた皮膚潰瘍に対しては、まず、軟膏療法で治癒が期待できるかを検討し、軟膏では治癒が期待できない場合は手術治療を行います。
また、きずが治った後にひきつれを起こしていたり、見た目に目立つ場合など、手術により、修正することが可能です。

手術後のキズが痛いとか見た目にも気になるといった場合はご相談ください。

腫瘍・母斑・血管腫

レーザー治療:

当科は数種類のレーザー機器を有しており、それらにより血管腫、異所性蒙古斑、太田母斑、外傷性色素沈着、扁平母斑の保険治療が可能です。

皮膚、皮下腫瘍:小さいほくろのようなものであれば、レーザーにより除去が可能です。
大きな腫瘍に関しても、できる限り目立たない方法を考えて治療を提案いたします。

悪性腫瘍:

 乳がんによる乳房の再建


乳房の欠損による精神的な負担が非常に大きいものであることを、患者さんと接することにより強く感じます。
私たちは、その負担をできる限り軽くし、豊かな人生を歩んでいただきたいという思いで乳房再建にあたっています。
人工乳房(シリコン)を用いた再建と自分の皮膚や脂肪を用いて再建する方法があり、患者さんとよくご相談させていただいた上でどちらの方法で再建するかを決定しています。

 頭頚部がんによる顔面変形に対する組織再建

頭頚部腫瘍の切除後に生じる変形を最小限にすべく、形成外科では組織再建を行っています。マイクロサージャリーを駆使した高度の技術を用いた再建を行っています。腫瘍を

その他、各科での悪性腫瘍切除による欠損の再建を担当しています。
腫瘍切除後の変形などでお悩みの方は当科で対応いたします。

陥没乳頭

陥没乳頭により、整容面と、出産後に授乳が可能かどうかの心配があります。手術による矯正が可能ですので、ご相談ください。

顔面神経麻痺

手術や病気により顔面神経麻痺が後遺症として残ると、「瞼が閉じない」、「口が閉じない」、「眉毛が下がっている」などの機能面、整容面両方での問題がでます。顔面神経麻痺の再建は 「笑顔の再建」ともいわれ、また笑って写真がとれることを目標に治療にあたっています。
それぞれの症状に適した手術法を選択し、適切な治療を行っています。滋賀医科大学形成外科ではマイクロサージャリーを用いた神経移植や筋肉移植など高度な再建が可能です。

陥入爪、巻き爪

陥入爪、巻き爪は爪が皮膚に食い込み、痛みの原因となり、また感染が加わると激しい痛みとなります。
当科では痛みの少ない手術(フェノール法)による治療を提供しています。